
JRSJ Vol.17, No.1 |
Vol.17, No.1
認知ロボティクス 1960年代の後半から米国SRIを中心として盛んになった知能ロボットの研究は,いったんその要素技術(人工知能技術,制御技術,センサ技術,機械技術など,ロボットの各部を支える様々な技術)へと研究の焦点が移ったものの,要素技術が飽和してきた今日,再びロボット全体を見直す研究が盛んになりつつある.すなわち,ロボット研究は,総合的な視点からの研究と部分的な視点からの研究を繰り返し,総合的な視点から新たな問題が発見されると,集中的に問題解決を行うというループの中で研究されているように見える.
ただし,今日の知能ロボット研究は,当初米国で始まった知能ロボット研究とは,若干異なる様相をもつ.当初の知能ロボット研究がロボットの知的な振る舞いの実現を目指したのに対し,今日の知能ロボット研究はより深く機械に宿る知能そのものの原理に迫ろうという意図が見受けられる.この新しい知能ロボット研究は,新たな視点として,環境との相互作用とロボットシステムの成長過程に注目している.
これまでの知能ロボット研究では,ロボットが身体をもって環境と相互作用することの意味について深い考察がなかった.また,ロボットが環境と相互作用しながらその機能を発達させていく過程を軽視していた.このような問題に対し,認知科学,発達心理,神経科学など,現存する複雑なシステム(人間や動物)の原理を探求する分野から多くのヒントを得ながら,ロボットを基にした仮説生成と検証を通して認知・知能システムに対する新しい方法論を確立しようというのが,認知ロボテイクスであろう.
本特集では,知能ロボット,認知科学,神経科学など,様々な分野を背景に,この認知ロボティクスという新しい分野で活動されている方々の意見を借りながら,このロボットの新しい研究分野について考えてみたい.
(「特集について」から抜粋) |