
JRSJ Vol.18, No.6 |
Vol.18,
No.6 「器用な手」
本特集では手に関連した研究について特集する.作業は移動と並びロボットに要求される最も基本的な動作である.器用に作業を行う人間の手は見本になる.最近内外の講演会のポスターを見ると,なぜかロボットハンドを題材にしたものが多い.人間のような手をロボットとして実現させたいと思う気持ちの現れかもしれない.器用さだけでなく,そっとやさしく触れるという人間的な動作もロボットに求めているからかもしれない.
前回のロボットハンドに関する特集には93年の「センサーベーストロボットハンド」があり,それから約7年が経過している.この間,人間の手のロボットとしての具現である多指ハンドが実用化されたかというと残念ながらそうではない.多指ハンドの実用という面で進歩は小さい.ハードウェアの未成熟さはその大きな原因にあげられる.アクチュエータのパワーが不足しているし,感覚器としての触覚も未成熟である.このことは多指ハンドに限ったことではないが,コンパクトに作りあげなくてはならないという制約が大きい.
その一方,そう簡単には実現できないとすると,いろいろな工夫が必要であるし,深い考察が必要である.そこで人間の手の感覚器や機能に対するより深い分析が行われてきた.斬新なアイディアの触覚センサも現れてきた.単なる形態的模倣ではなく深いエンジニアリング的考察に基づいたロボットハンドも一部ではあるが現れてきた.そして内外各種賞を受賞された研究が多い.そこで今回そのような動向を特集することにした.
特集を「ハンド」とせずに「手」とした理由は,純粋に人間(動物)の手に関する研究を含めたからである.ロボットへのヒントはまだまだありそうであるという指摘からである.
今後ロボットとして実用につなげるためには,より一層の工夫と努力がもちろん必要である.人間の手はあまりに優れている.その何を工学的に実現すれば対価が得られるか,より一層見定める必要もあろう.[後略]
(「特集について」より抜粋) |