JRSJ Vol.22, No.5 |
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No.5 大都市大震災軽減化特別プロジェクト −レスキューロボット等次世代防災基盤技術の開発− 1995年1月の阪神淡路大震災は,有効なレスキュー機器の欠如も伴って,被災者の救助活動は難航した.また米国の2001年9月の同時多発テロ災害現場においても,救助活動中に多数の消防士が,ビル倒壊の二次災害で亡くなっている.これらが示すように,災害現場において,救助者の安全を確保しつつ,迅速に要救助者を探索・救出するためのツールの完成が望まれており,現在多くの研究機関において,レスキューロボットに関する研究が進められている. そこでこのような背景をふまえ,文部科学省は2002年度より,「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」を発足した.プロジェクトの目的は,「首都圏(南関東)や京阪神などの大都市圏において阪神・淡路大震災級の被害をもたらす大地震が発生した際の人的・物的被害を大幅に軽減するための研究開発を行い,地震防災対策に関する科学的・技術的基盤を確立すること」である.このプロジェクトは,(1)地震動(強い揺れ)の予測,(2)耐震性向上,(3)被害者救助等の災害対応戦略の最適化,(4)地震防災対策への反映,の四つのサブプロジェクトから構成される.また(3)は,災害シミュレーションを行う「災害対応戦略研究」と,実際の災害現場で情報収集を行う「レスキューロボット等次世代防災基盤技術の開発」の二つのプロジェクトから構成されており,今回の特集で取り上げるロボットに関連する後者のプロジェクト(以下,本特集では,これを略して「大大特プロジェクト」と呼ぶ)は,前者のシミュレーションプロジェクトの研究機関と連携を取りつつ,活動を行っている. この大大特プロジェクトの特徴は,プロジェクト完了時におけるロボットの実用化という明確な目標を,発足当初から掲げている点である.また,このプロジェクトで製作されたロボットの性能評価のために,模擬倒壊フィールドを川崎と神戸に設けている点も大きな特徴といえる.現在,大大特プロジェクトは,開始から2年が経過した.そこで,本特集では,大大特プロジェクトの進行状況の報告を中心に,国内外のレスキューロボットに関する解説を行うこととした. まず本特集の初めに,大大特プロジェクトリーダーの田所諭氏(神戸大学)に,「大大特プロジェクトの目的と概要」について,ご解説いただいた. 続いて,大大特プロジェクト内の各研究グループの内容について,次の方々にご執筆いただいた.まず,中西弘明氏(京都大学),井上紘一氏(大阪産業大学),佐藤彰氏(ヤマハ発動機)には,被災地における大局的な情報藤得のための,(主にヘリコプターを用いた)空からの情報収集技術について.坪内孝司氏(筑波大学)には,レスキューロボットによって獲得した被災地の環境情報をオペレータに提示するための環境情報構築技術について.大須賀公一氏(神戸大学)には,人が容易に侵入できない比校的狭い瓦轢内の探索に適した「蛇型ロボット」を中心とした移動機構について.小野里雅彦氏(北海道大学)には,無線タグや気球などを利用した,被災地における情報収集を行う機器に関する研究の現状について.升谷保博氏(大阪大学)には,被災地におけるセンサ関連技術と,レスキュー機器の運用訓練に利用するための「要救助者模擬ダミー」について.横小路泰義氏(京都大学)には,レスキューロボットを操作するためのヒューマンインタフェースに関する研究について,ご解説いただいた. また,大大特プロジェクトの大きな特徴である,レスキューロボットの試験/評価用の二つのテストフィールドについても,次の方々にご執筆いただいた.松野文俊氏(電気通信大学)には,川崎のIRS川崎LAB内のテストフィールドについて.綿末太郎氏(神戸大学),小野里雅彦氏(北海道大学),田所諭氏(神戸大学)には,IRS神戸LAB内のテストフィールドについて,ご解説いただいた. さらに,畑山満則氏(京都大学防災研究所)より,レスキューロボットプロジェクトと連携しながら,災害シミュレーションを行う「災害対応戦略研究」のプロジェクトにおいて,現在開発中の「震災総合シミュレーションシステム」について,ご解説いただいた. このほかにも,大大特プロジェクト以外の国内外のレスキューロボット研究として,天野久徳氏,座間信作氏,山田實氏(消防研究所)に,都市型地震災害に対する消防研の取り組みについて,Binoy Shah氏,Howie Choset氏(カーネギーメロン大学)には,アメリカ合衆国における都市型災害に対するサーチ・アンド・レスキューの研究の最新情報について,解説いただいた. 本特集によって,現在進められている大大特プロジェクトの現状や問題点を皆様方にご理解いただき,地震が頻発する日本における,次世代のレスキューロボット技術について,共に考える機会を持つことができれば幸いである. (「特集について」より)
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