
JRSJ Vol.23, No.3
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Vol.23, No.3
「進化するビジョン」特集について
視覚は,ロボットにとって最も重要な機能の一つである.
時々刻々変化する環境においてロボットが作業を行うため
には,周囲環境をセンシングし,その結果をふまえた行動
を行うことが必要である.ビジョンはセンシング技術の代
表であり,今後もますます中心的役割を担っていくことが
期待されている.
このような背景から,本誌でもビジョンに関する多くの
特集が企画されている.題名を見て直接ビジョン関係であ
る特集だと分かるものだけを挙げても,「視覚」(1巻4号,
1983年),「ロボットビジョン」(10巻2号,1992年),「リ
アルタイムビジョン」(13巻3号,1995年),「ロボットの
ためのメディア情報処理」(16巻6号,1998年),「未来開
拓:「分散協調視覚」プロジェクト」(19巻4号,2001年),
「センシング技術―光と影―」(20巻4号,2002年)など
がある.
これらの特集は,ビジョンに関する当時の最先端技術を
まとめた興味深い内容であることは言うまでもない.また,
これら以外の特集でも,ビジョンに関する解説は少なくな
い.それぞれの特集において,目的,対象,手法など様々
な観点からビジョン研究がまとめられている.
さて,今回の特集の趣旨は単純である.進化を続けるビ
ジョン研究のなかでも,「速い(=超高速・リアルタイム)」,
「広い(=超広視野・広範囲)」,「美しい(=超解像)」と
いう最も重要かつ分かりやすい三つの性能を極限まで向上
させた研究に焦点を当てた.
まず「速さ」については,石川正俊氏(東京大学)に
「超高速ビジョンの展望」と題して,ビデオレートを超え
る超高速なビジョンの考え方やこれまでの研究動向,さら
にはその応用や今後の展望について解説していただいた.
1[kHz]を超えるフレームレートの高速ビジョンの世界で
は,30[Hz]というビデオレートの制限下とは全く異なった
新しい世界が広がっており,大変ワクワクする内容である.
佐藤幸男氏(慶應義塾大学)・柴田進氏(スペースビジ
ョン)には,「実用化が進む高速レンジファインダ」と題
して,距離画像を取得するレンジファインダについて解説
していただいた.最新のレンジファインダ技術をサーペイ
していただくと同時に,それを利用する立場のユーザはど
のようなことに気をつけてレンジファインダを導入すれば
良いかについても丁寧に解説していただいており,あらゆ
る立場の読者にとって大変役に立つ内容となっている.
大明準治氏(東芝)には,「1,000fps高速度画像処理の
アクティブカメラへの応用」と題して,通常照明・複雑背
景での非特定移動物体のトラッキング技術について解説し
ていただいた.サッカーボールを追跡した結果を見ると,
ここまで凄いことができるようになったのかと感心する内
容である.
河北真宏氏(NHKエンジニアリングサービス)・菊池宏
氏(NHK放送技術研究所)には,「実時間距離検出三次元
カメラ」と題して,映像と距離情報を同時に取得できるカ
メラについて解説していただいた.この技術は実際の放送
番組で画像合成に使用されており,大変迫力のある内容に
なっている.
持丸正明氏(産総研)には,「リアルタイムモーション
キャプチャ」と題して,人間の体の動きを時系列で取得す
る技術について解説していただいた.本記事を読むことに
より,様々な用途で利用されているモーションキャプチャ
の最新動向を知ることができる.
次に「広さ」については,山本和彦氏(岐阜大学)・清
水早苗氏(ソフトピアジャパン)に「全方向ステレオシス
テム」と題して,全球視野の三次元情報を同時に取得可能
なカメラシステムについて解説していただいた.多数台の
カメラを組み合わせ,縦横あらゆる方向を同時に観測でき
るようにしたボール状のカメラシステムは圧巻である.
八木康史氏(大阪大学)には,「全方位視覚」と題して,
周囲360度側方を同時に観測できる全方位カメラについて
解説していただいた.全方位カメラはモニタリングシステ
ムや移動ロボットに用いられており,多くの読者にとって
大変参考になる内容であると思われる.
依田育土民・坂上勝彦氏(産総研)には,「多視点映像
処理」と題して,複数の視点から取得した映像を処理する
技術について解説していただいた.広範囲映像を処理する
技術のうち,前者2件の解説が基本的に単一視点からの映
像であったのに対し本解説は多視点からの映像であるとい
った違いがあり,目的や解決すべき内容の違いを比較する
のも面白い.
最後に「美しさ」については,杉本茂樹氏・奥富正敏氏
(東京工業大学)に「画像の超解像度化処理」と題して,
複数枚の画像を用いることで高解像度画像を生成する技術
について解説していただいた.研究動向が丁寧にまとめら
れており,非常に勉強になる内容である.
以上,本特集では,速さ・広さ・美しさという観点から
ビジョン研究をまとめた.
最後に,お忙しい中執筆をご快諾いただきました執筆者
の方々に心より御礼申し上げます.
(「特集について」より)
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