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学会案内

会長挨拶

日本ロボット学会会長就任挨拶


一般社団法人日本ロボット学会
会長 髙西淳夫 (早稲田大学)
(2015・2016年度)


 2012年(平成 24 年)に30周年を迎えた日本ロボット学会ですが,40周年に向かう最初の2年間は小平紀生前会長の強いリーダーシップによって順調な滑り出しを始めました.次の2年間を託された私の責任は重大ですが,この流れを更に加速できるよう最大限努力したいと思います.

 従来から本学会では「産学連携の強化」,「国際発信力の強化」,「工学教育への貢献」を進め,小平前会長がそれらを包括した「社会への影響力強化」を進められました.私は,これを引き継ぎ,更に具体化をすべく以下のような活動方針を提案します.

 本学会の過去の刊行物に掲載されているかも知れませんが,私の指導教授で,本学会発足間もない二期目(1985年度~1986年度)の会長を努められた故加藤一郎先生から,「日本ロボット学会は,ロボットに関する技術者・工学研究者だけでなく,医師,心理学者,経済学者,哲学者,小説家や演劇家など幅広い分野・領域の関係者も対象にする」と伺ったことを改めて思い出しました.

 ここ10数年で生活支援用のサービスロボットの研究開発が活発化し,ロボットの社会進出を想定した問題を扱う必要から,心理学,人類学,法学など幅広い分野の関係者も参加する国内外の学術会議や研究論文が増えています.これを後押しするかのように,社会実装に向けた事例も出てきています.ご存知の会員様も多いと思いますが,最近,通信系企業が身長120cmで20軸の人間型サービスロボットを格安でネット販売し始めました.納品は今夏ということですが,スマートフォンのアプリのようにユーザーがソフトを開発することも可能とされています.この例からも,今後はサービスロボットの社会実装が加速されていくものと予想されます.

 私も協力しましたが,福岡県・福岡市・北九州市の三者が内閣官房に共同提案した「ロボット開発・実証実験特区」が2003年に認定され,ロボットの公道上での歩行・走行実験が可能になりました.2005年には全国展開も国会で承認され,特区指定地域に限らず移動実験が可能になりました.以来,この制度を利用した様々なロボットの移動実験が実施されていると聞きます.それらは道交法と強く関係していますが,最近注目されているロボットとして手術ロボットや飛行ロボットがあります.それぞれ薬事法や航空法を考慮しなければ実用化・製品化はあり得ません.

 以上のようにロボットの用途・目的の広がりによって,ロボット工学とそれ以外の分野・領域との相互乗り入れは今後,益々増え,広がっていくものと予想されます.よって,幅広い領域の研究者・関係者を受け入れることができる本学会の貢献が大きく期待されることは間違いなく,この「ロボット関連分野の多様化に沿った新入会員数の向上と会員サービスの充実」を図ります.

 私の本学会での会員番号は3桁です.つまり学会発足当初から在籍しています.過去の30余年はあっという間に過ぎたようにも感じます.しかし,その間にはバブル経済と崩壊,阪神淡路大震災,ITバブルと崩壊,リーマンショック,東日本大震災および原発事故など,数々の極めて大きな社会的変化もあり現在に至っています.

 日本経済のこれまでの2年間は,安倍晋三内閣の経済政策である「アベノミクス」の強い影響下にありました.リーマンショックに東日本大震災も加わり大きく落ち込んでいた経済でしたが,日経平均株価は過去2年で1万円近く値上がりしています.また,製造業を中心とした世界規模の日本企業の多くが,2013年度に続き,2014年度の決算見通しにおいて軒並み過去最高益を予想しています.日本経済の先行きは明るいようにも見えますが,一方で日本ロボット工業会(JARA)の2014年版「ロボット産業需給動向」によれば,2013年の製造業用ロボットの受注額は約5100億円でした.回復傾向にはあるようですが,過去10年でピークとなった2006年の約7500億円に比べれば,まだ3分の2程度に留まっています.また,好業績は政府の円安誘導政策の追い風による輸出関連企業のみの現象で,輸入関連企業は逆に大きな打撃を受けているようです.いつ為替レートが円高に反転して株価の急落や企業業績の悪化が起きるかも知れないという経済の専門家の見解もよく耳にします.

 昨年の内閣府の人口動態に関する報告によると,2100年には日本の総人口は5000万人弱まで減少し,明治末期の人口規模になると予想されています.著しい少子化は生産年齢人口の減少を引き起こし,社会機能の維持自体にも大きな影響を及ぼすとの懸念も顕在化しています.ここまでくると,私のような経済の素人にも,これからの日本にとって大きく内需を押し上げることは至難の業であり,やはり日本は輸出型経済に頼らざるを得ないように感じます.

 そのような状況を打開する安倍内閣の政策会議のひとつとして「ロボット革命実現会議」が昨年9月に組織されました.官邸のホームページによると,上記のような問題を解決するために次のような3点を柱とする提言がまとめられています.それらは“①日本を世界のロボットイノベーション拠点とする「ロボット創出力の抜本強化」,②世界一のロボット利活用社会を目指し,日本の津々浦々においてロボットがある日常を実現する「ロボットの活用・普及(ロボットショーケース化)」,③ロボットが相互に接続しデータを自律的に蓄積・活用することを前提としたビジネスを推進するためのルールや国際標準の獲得等に加え,さらに広範な分野への発展を目指す「世界を見据えたロボット革命の展開・発展」であり,2020年までの5年間については1000億円規模のロボットプロジェクト推進を目指す”としています.

 これは本学会の関係者にとっては実に心強い政策提言と言えます.いっぽう,日本の製造業の中核である自動車産業に目を向けると,業界団体である日本自動車工業会のホームページの公表によれば,日本における2013年の四輪車の生産額は約17兆円でした.同工業会とともに,自動車技術全般に関わる研究者や技術者の学術団体として自動車技術会があります.自動車産業の規模の大きさを物語っていますが,会員数は日本ロボット学会の10倍を超える46000人を擁し,産学連携推進の礎になっています.

 ロボット産業が直ぐに自動車のレベルにまで達するのは難しいですが,いつか肩を並べる日本の基幹産業のひとつとすべく,本学会も学術の面から「ロボット革命」推進の一翼を担いたいと思います.そのために,まずJARAとの協力・交流をこれまで以上に深め,更に「ロボット関連分野の多様性に関わる様々な学協会との提携関係を構築・推進」します.

 以上の方針を実現するため,会員皆様のご協力を切にお願いいたします.


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