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あなたの技術・アイディアに基づく新しい廃炉のためのロボット技術提案「1F廃炉のためのロボット技術コンペ」公募実施要領

1. 概要

日本ロボット学会廃炉に向けたロボットの調査研究と社会貢献に関する 研究会/日本原子力学会廃炉検討委員会ロボット分科会は、東京電力福島第一原子力発電所(以降、1F)の廃炉に向けて、両学会がどのように連携できるか、またそのための技術的な課題は何かを明らかにするため、共同でさまざまな検討を重ねてきた。その中で、ロボット分科会 WGがまとめて提示した「ロボット分科会への提言」(https://www.aesj.net/permalink/2018年度期末報告書/ の「添付資料 4-3」を参照)をうけて、2016年には「廃炉のためのロボット技術コンペ」を企画し、当時想定された廃炉作業環境条件やロボットに必要とされる移動やマニピュレーションの課題を提示することで技術アイディアについて募集し,優秀な提案については表彰を行った.(https://www.rsj.or.jp/activity/past-activity/committees-sg/dec.htmlを参照のこと.)その後10年を超える、1Fの実機調査、ロボットや遠隔操作機器を用いた廃炉作業の経験から,ロボットを活用する環境条件やロボットが備えるべき機能・性能等の点が徐々に明らかになってきている.これら最新の情報に基づき、廃炉作業の推進に利活用できるロボット技術のアイディアを広く募集する「1F廃炉ロボット技術コンペ」の企画実施を行う.

2. スケジュール

提案公募開始:2024年11月21日(木)

提案公募締切:2025年5月30日(金)

提案応募内容の審査結果発表:2025年9月開催予定の日本ロボット学術講演会において,提案応募内容について発表、優秀提案に対し日本原子力学会および日本ロボット学会より表彰

3. 提案公募の詳細

<本コンペで対象とする環境・作業内容>

福島廃炉対策に係るロボットのニーズ・シーズ技術に関する課題抽出から、燃料デブリ取り出しに向けた内部調査技術に関しては、極めて高度かつ革新的なロボット技 術開発が求められることが明らかになった。そこで、特にデブリサンプリングも含めた内部調査ロボットの技術開発を加速させるため、ロボット研究者・技術者の知識を 結集させることを目的としたロボット技術コンペを実施する。

福島原子力発電所の1号機~3号機の原子炉格納容器(以降 PCV) 内のこれまでの 内部調査にもとづき、図のようなPCV内部のペデスタル内を模擬した作業環境を設定した。狭隘部(ペネトレーション)からの侵入経路よりペデスタル内部に展開し,ペデスタル底部にある燃料デブリにアクセスし、回収する作業を想定した。

本シナリオにおいて期待される技術要件等を図中の番号と対応させて下記に列挙する。

 

  • ① 貫通孔通過
  • ② 貫通孔からペデスタル内へ展開
  • ③ グレーチング下方空間へ移動して燃料デブリへアクセス
  • ④ 燃料デブリ回収
  • ⑤ 貫通孔外部に帰還

 

  • (A) 原子炉圧力容器下部
  • (B) グレーチングプレート
  • (C) 燃料デブリ


また、環境条件について下記する。

 

  • 対象環境全体が遮蔽体で覆われており,外部から無線ができない。
  • ペデスタル内の線量率は一様に100Gy/hであるとし、想定作業時間を10時間以内とする。(つまり、累積線量1000Gy)
  • ペデスタル内には一様に水蒸気が分布した状態で湿度が100%とする。
  • ペデスタル内は照明がない暗所であるとする。
  • 燃料デブリは,金属を含んだ化合物と仮定し,切断して小分けにして回収する。

 


図:対象環境 原子炉格納容器ペデスタル内を模擬した作業環境


提案について全工程(①〜③)を想定したものが望ましいが,部分工程のための要素技術のアイディア提案も可とする.(例:③〜④,②〜④等)


<本コンペへの提案において考慮する観点>

提案内容においては,これまでの1F廃炉作業の経験等をふまえ,より実際的な状況想定として下記の点について考慮していただきたい.尚,必要に応じてweb等で公開されているロボットによる1F廃炉作業に関する資料を参照していただくとよい.

 

  • ロボットシステム/運用方法の新規性:既存の技術(特に異分野)の応用や統合による技術や既存技術を応用した新たな運用方法についても新規な提案とみなします.この際,過酷環境でロボットをいかに安全で確実に運用できるか,についても考慮いただきたい.
  • 遠隔作業性:ロボットを直接目視ができない状況下での作業実行
  • 耐放射線性:原子炉格納容器や圧力容器内等の高放射線が想定される環境において動作するための高耐性部品の導入・利活用や遮蔽 等
  • コンパクトな実装性:原子炉格納容器内部への投入口のサイズ制約に対応するために可能な限り小型化


尚、実環境においては図に示したものに加えて、格納容器壁面からペデスタルの入口(図中①の部分)の間に長さ約 7m のスロープが存在している。この点についても含める場合は、そのことを提案説明資料内に明示すること。


参考情報関連サイト:

 

参考文献

  • Nagatani K, Kiribayashi S, Okada Y, Otake K, Tadokoro KYS, Nishimura T, Yoshida T, Koyanagi E, Fukushima M and Kawatsuma S (2013), "Emergency Response to the Nuclear Accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plants using Mobile Rescue Robots", Journal of Field Robotics., January, 2013. Vol. 30(1), pp. 44-63.
  • 大西 献, 大西 典子, 藤田 淳, 原 浩二, 橋本 達矢,原子力災害対応ロボットの設計と開発,日本ロボット学会誌,Vol.32, No.9, pp816-824, DOI 10.7210/jrsj.32.816, 2014
  • Oomichi, T., Isozaki, Y., & Kojima, M. (2007). “Practical design of robots operating in radiation environments”. Advanced Robotics, 21(5–6), 515–532. https://doi.org/10.1163/156855307780108286
  • Okuzumi, N., Matsuzaki, K., Okada, S., “Development and Application of Robotics for Decommissioning of Fukushima Daiichi NPS by IRID,” J. Robot. Mechatron., Vol.36 No.1, pp. 9-20, 2024. doi: 10.20965/jrm.2024.p0009


<応募方法>

応募者は、以下の内容を明記した提案書を提案期限までに下記提案書送付先へ提出する。提案フォーマット等の詳細については,日本ロボット学会 HP にて告知する.

 

  • 検討において設定した環境条件、前提条件
  • アイデア提案の具体的な内容の説明資料(説明文およびパワーポイント図や動画.審査の際にアイディアがわかりやすく伝わる工夫をもとめます)
  • その他(期待される効果,アピールポイントなど)

 

提案書送付先:1F廃炉のためのロボット技術コンペ公募受付係宛に Mail にて送付

 

応募フォーム公開版【PDF】【Word(docx)】/公募要領公開版【PDF

 

日本ロボット学会/日本原子力学会の研究会/分科会の中で審査委員会を構成し,公募に対して問い合わせ(上記メールアドレスにて受け付ける)があった場合は、本委員会にて提案に寄与する内容であるか検討の上、回答を作成して質問内容とともに日本ロボット学会の当該イベント紹介HPにて公開する。


以上.