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第4回インターナショナルロボットハイスクールIRH2018実施報告

2018/11/5
日本ロボット学会 IRH2018実行委員会 幹事 細田祐司

開催概要

主催:一般社団法人日本ロボット学会

共催:一般社団法人日本ロボット工業会,日刊工業新聞社

協賛:
ロボコンマガジン(株式会社オーム社),トヨタ自動車株式会社,
三菱電機株式会社,株式会社安川電機,株式会社アールティ

開催日:2018年10月19日(金),20日(土)

開催地:東京ビッグサイト 会議棟6階 607,608会議室

企画:IRH2018実行委員会

委員長: 松日楽信人(RSJ副会長,芝浦工業大学)
幹 事: 細田祐司(RSJ庶務理事・事務局長)
委 員: 野田哲男(大阪工業大学),中臺一博(RSJ国際理事,ホンダ・インスティチュート・ジャパン),稲邑哲也(RSJ国際理事,国立情報学研究所(NII)),琴坂信哉(RSJロボット教育事業計画委員会委員長,埼玉大学),村松 聡(RSJロボット教育事業計画委員会委員,東海大学),釜道紀浩(RSJロボット教育事業計画委員会委員,東京電機大学),林 英雄(共催,日刊工業新聞),山本雅之(共催,日刊工業新聞),矢内重章(共催,日本ロボット工業会),矢野友規(協賛,オーム社),可香史織(協賛,オーム社)

IRH2018表彰委員会

委員長: 松日楽信人(RSJ副会長,芝浦工業大学)
幹 事: 細田祐司(RSJ庶務理事・事務局長)
委 員: 澤 俊裕(RSJ会長,安川電機),釜道紀浩(RSJロボット教育事業計画委員会委員,東京電機大学),小平紀生(IRH2013スーパバイザー,元RSJ会長,三菱電気),大隅 久(IRH2013実行委員長,元RSJ副会長,中央大学)
主催: 共催:
協賛:

主旨

当学会の教育事業の一環として,国内外の高校生を対象とし工学教育事業を実施

World Robot Summit (WRS) 2018展会場及び競技会場,Japan Robot Week (JRW) 2018展示会場にて展示物の課題付の調査研究をしてもらい結果を発表してもらう

優秀発表に対し贈賞

各校のロボット工学教育の実践について情報共有してもらい,国際交流を体験してもらう

ロボット工学者育成促進及び将来の会員候補の確保

実績

国際ロボット展とのコラボで,過去2回ロボットハイスクールを実施.50名規模の国内高校生を対象に,産業ロボットを直接手に触れる1日コースの企画を実施.

2013年のIROS2013の東京開催に併せて,国際事業の一環として第1回インターナショナルロボットハイスクールIRH2013を実施し,第3回まで国際ロボット展が開催される奇数年度毎に継続し,今回はWRS2018プレ大会及びJRW2018の実施に合わせて実施した.
 今回の開催を含めこれまで,下記のように毎回多くの参加員数,参加国を得ており,本格的な国際教育事業になってきた.

表1.参加実績の推移

実施年度 総数 国内 国外 参加国 協賛
2013年 第1回 参加者 109 91 18 4か国:中国,日本,ノルウェー,米国 2社
参加校 19 16 3
2015年 第2回 参加者 115 34 91 6か国:ブラジル,中国,日本,韓国,メキシコ(2校),米国 5社
参加校 13 7 6
2017年 第3回 参加者 129 36 93 8か国:ブラジル,中国,日本,韓国,フィリピン, シンガポール,メキシコ,米国 4社
参加校 13 6 7
2018年 第4回 参加者 90 68 22 3か国:日本,フィリピン,メキシコ 5社
参加校 9 7 2

参加校(学校名をクリックすると学校紹介データを参照できます)

岐阜県立飛騨神岡高等学校

CETIS 26 Technical High School(メキシコ)

和歌山工業高等専門学校

豊田工業高等専門学校

立命館慶祥高等学校

Caritas Don Bosco School(フィリピン)

クラーク記念国際高等学校 秋葉原ITキャンパス

Christian Academy in Japan

市川学園 市川高等学校

※クリックで拡大


実施報告

1.開催内容:詳細スケジュール

10月19日(金)

課題調査:WRS2018展会場及び競技会場,JRW2018展示会場

10月20日(土)

研究発表会:課題調査報告

表彰式


2.課題調査:WRS2018展会場及び競技会場,JRW2018展示会場

産業ロボット及びサービスロボットに関する下記の研究課題を事前に選択頂いた上で,各校にて事前研究を進めて頂き,初日にWRS2018展会場及び競技会場,JRW2018展示会場で生徒による自主調査を実施してもらった.その結果を集大成し,2日目の研究発表の準備をしてもらった.

WRS2018のWebサイト

JRWS2018のWebサイト

<WRS2018展会場及び競技会場,JRW2018展示会場での調査>


<研究課題の内容>

課題1.産業用ロボット(製造業向け)の設計と基盤技術の体系化
 この課題は,ロボットを構成している基盤技術を知って頂くことを目的とする.
 下記に挙げる3種類の,産業用ロボット(製造業向け)の基盤技術の中から一つを選び,それに含まれる技術の種類,動作原理等について調査を行い,その全体像が把握できるように基盤技術を分類,整理して発表すること.
<選択肢>
(1)センサー技術
(2)機械要素(アクチュエータ,減速機,機構,素材,システム)
(3)ロボットを使うための技術(安全技術やシステム・インテグレーション技術)

課題2:ロボットの使途とその性能の関係
 この課題は,ロボットがその使用目的や使われる環境に適合するように大きさ,出力や機能等がデザインされていることを知って頂くことを目的とする.
下記に挙げる3種類のロボットの使途の中から一つを選び,その使途とロボットの性能(特徴,機能,構造,構成,仕様等)との関係を調査して発表すること.
<選択肢>
(1)製造業向け(自動車向け,電気・電子向け,医薬品向け,化粧品向け,食品向け等)
(2)非製造業向け(ビル清掃,災害,インフラ維持,警備,医療,介護,農林水産業,アミューズメント,案内等)
(3)一般家庭用(掃除,警備,見守り,介護,対話型家電,情報端末等)

課題3:ロボットの最先端技術
この課題は,ロボットを構成している最先端技術を知って頂くことを目的としている.
ロボットに使われている最先端技術を調査し発表する.発表では,紹介する技術のどこに新規性あるいは/および有用性があり,ロボットがどう進化したか説明すること.できれば,ロボットの進化で世の中がどのように変わると思われるか述べる.
技術は,下記の参考資料に示すように,基礎研究段階から,現場で実用可能な段階のものまで,様々な段階があり,各々の段階にはそれぞれの段階ごとの最先端技術が存在する.調査研究にあたっては,対象とするロボット技術がどの段階のものであるか判断し,その中で何が最先端技術なのかを確認すること.
<検討のヒント>
・新規性の説明については,これまで用いられていなかった原理原則・法則・方法・個別の方法の組み合わせ方により,課題を解いていることを述べ,なぜそのやり方を用いることができるようになったかを論じる方法がある.
・有用性の説明については,同じ機能をより低コストで実現したこと,同じコストでより多くの機能を実現したこと,コストはかかるが今までできなかったことを実現したこと,などを論じる方法がある.
・ロボットの進化については,例えばロボットによる作業効率や,ロボットのプログラミング時間・手間の短縮効果を論じる方法がある.
・世の中がどのように変わるについては,ロボットの使用前・使用後の現場の景色の変化や,人の働き方,ライフスタイルの変化,常識の変化を論じる方法がある.


3.公開発表会:同時通訳付き

 20日,10:00~12:25,会議棟6階607会議室において,研究発表会を行った.
参加した9校により,WRS2018及びJRW2018の調査結果の報告を行ってもらった.各校の発表持ち時間は15分で,全ての発表が規程時間内で終了.展示会場での調査及び発表データ準備時間が短時間に限られていたにも関わらず,いずれの発表も素晴らしいものであった.


<各校の発表内容と研究発表の課題>

報告校(クリックで発表データ参照) 選択課題
岐阜県立飛騨神岡高等学校 課題3:ロボットの最先端技術
CETIS 26 Technical High School(メキシコ 課題2:ロボットの使途とその性能の関係(2)非製造業向け
和歌山工業高等専門学校 課題2:ロボットの使途とその性能の関係 (2)非製造業向け
豊田工業高等専門学校 課題1:産業用ロボットの設計と基盤技術の体系化 (3)ロボットを使うための技術
立命館慶祥高等学校 課題1:産業用ロボットの設計と基盤技術の体系化 (1)センサー技術
Caritas Don Bosco School(フィリピン) 課題2:ロボットの使途とその性能の関係 (3)一般家庭用
クラーク記念国際高等学校 秋葉原ITキャンパス 課題1:産業用ロボットの設計と基盤技術の体系化 (3)ロボットを使うための技術
Christian Academy in Japan 課題3:ロボットの最先端技術
市川学園 市川高等学校 課題2:ロボットの使途とその性能の関係 (2)非製造業向け

4.表彰式:

a)研究発表全9件の中から下記の4校に対し,優秀賞:IRH 2018 Best Study Report Awardを贈賞させて頂いた.

Caritas Don Bosco School(フィリピン)

CETIS 26 Technical High School(メキシコ)

Christian Academy in Japan

和歌山工業高等専門学校

b)今回は,人材育成というユニークな切り口な発表を評価し下記校に対し,審査員特別賞:IRH 2018 Special Committee Awardを贈賞させて頂いた.

クラーク記念国際高等学校 秋葉原ITキャンパス

※クリックで拡大

報告内容は,研究報告評価シートに示す評価観点に基づき,6人の審査員により審査した.


c)生徒の皆さんをご指導頂いた各校の先生方には,感謝状:Testimonial for Study Report of IRH 2018を進呈させて頂いた.


d)IRH2018の参加者全員には,参加証:Certificate of IRH 2018を進呈させて頂いた.



d)総評:
優秀賞対象の選定のために,あえて各発表に対し評点評価をさせて頂いたが,実態としてはいずれも甲乙つけがたい素晴らしい発表で,各発表の総合評点の差異は僅差であった.発表時間は全件規程内に余裕をもってまとめて頂き,発表態度,発声,メリハリ,マナーも通常の学術講演会の大学生の発表レベルを凌駕するものがあり素晴らしかった.さらに,研究内容自体に関しても,事前にしっかりとした準備をして頂き,聴講者を引き付けるための工夫もあり,短い現地調査時間にも係らず,しっかりと分かり易く報告をまとめて頂いた.生徒の皆さんの日常の研鑽と,先生方の素晴らしいご指導に改めて敬意を表したい.


IRH2018を終えて

 皆様のご協力のお蔭で,IRH2017に続き成功裏に第4回インターナショナルロボットハイスクールを実施できましたこと,最初に御礼申し上げます. 今回は,前回に引き続き,国外からの多くの御参加を頂き,本格的な国際教育事業になってきました.また,協賛企業についても,前回を上回る5社にご協力頂き,本企画が,社会的にも認められてきたものと,主催元として喜びに堪えません. 前回同様,今回の企画より,多くの国内外の高校とのネットワークができたのは今回の企画の成功に並ぶ大きな財産であると思います. 今回は,WRS2018,JRW2018の調査研究という初めての試みで,これまでの国際ロボット展の調査研究とは一味違った体験をして頂いたかと思います.このことにより,参加された生徒の皆さんが,ロボット技術,ロボットが活躍する社会に対し,より一層の興味を持って頂けたものと考えます. 研究発表については,事前にテーマを選択頂き,開催前に事前研究を進めて頂く形式にさせて頂きました.このことにより,より深い学習をして頂けたものと思います.2日目の研究発表については,前回同様,素晴らしい発表をして頂きました.発表時間厳守で堂々とした発表マナー,ビジュアルにも分かりやすく工夫された発表資料,聴衆の興味を引く工夫等,高校生のレベルを超えた大人顔負けの発表に,改めて審査スタッフも脱帽致しました.これも,常日頃の生徒の皆さんの学業,生活姿勢の賜物,また御指導された先生方の多大なご尽力のお蔭と考えます.
来年度の2019年12月には,国際ロボット展2019(iREX2019)が開催されますので,これに併せてインターナショナルロボットハイスクールIRH2019を実施いたします.iREX2019は昨年のiRSX2017と同等以上の規模になるとのことですので,また是非ご参加いただければ幸いです.
 最後に,本企画に参加し活発な活動をして頂いた生徒の皆さん及びご指導の先生方,参加者の皆さんを快く送り出して頂いた各参加校の校長先生をはじめとする教職の皆様,本企画の場とご支援をいただいた共催の日刊工業新聞殿及び日本ロボット工業会殿,協賛により財政支援頂いたロボコンマガジン(オーム社)殿,トヨタ自動車株式会社殿,三菱電機株式会社殿,株式会社安川電機殿及び株式会社アールティ殿,忙しい中ご尽力いただいたIRH2018実行委員会委員の皆様に改めて感謝申し上げます.

以上

実施報告書書面のpdfデータ

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