第5回インターナショナルロボットハイスクールIRH2019実施報告
2019/12/25
IRH2019実行委員会 幹事 細田祐司
開催概要
主催:一般社団法人日本ロボット学会
共催:一般社団法人日本ロボット工業会,日刊工業新聞社
協賛:
株式会社オーム社,株式会社安川電機,株式会社アールティ,三菱電機株式会社
開催日:2019年12月21日(土),22日(日)
開催地:東京ビッグサイト付属 TFTビル 会議棟9階 906研修室
企画:IRH2019実行委員会
委員長: | 松野文俊(RSJ副会長,京都大学) |
幹 事: | 細田祐司(RSJ庶務理事・事務局長) |
委 員: |
野田哲男(大阪工業大学),稲邑哲也(RSJ国際理事,国立情報学研究所(NII)),田中文英(RSJ国際理事,筑波大学),⻑井隆行(RSJ国際理事,大阪大学),琴坂信哉(RSJロボット教育事業計画委員会委員長,埼玉大学),村松 聡(RSJロボット教育事業計画委員会委員,東海大学),釜道紀浩(RSJロボット教育事業計画委員会委員,東京電機大学),林 英雄(共催,日刊工業新聞),山本雅之(共催,日刊工業新聞),矢内重章(共催,日本ロボット工業会),矢野友規(協賛,オーム社),可香史織(協賛,オーム社),水谷俊徳(RSJ事務局) |
表彰委員: |
松野文俊(RSJ副会長,京都大学),細田祐司(RSJ庶務理事・事務局長),野田哲男(大阪工業大学),⻑井隆行(RSJ国際理事,大阪大学),琴坂信哉(RSJロボット教育事業計画委員会委員長,埼玉大学),釜道紀浩(RSJロボット教育事業計画委員会委員,東京電機大学) |
招待表彰委員: |
浅田稔(RSJ会長,大阪大学) |
主催 | 共催 | |
協賛 | |||
主旨
当学会の教育事業の一環として,国内外の高校生を対象とし工学教育事業を実施
国際ロボット展iREX2019の展示会場にて展示物の課題付の調査研究をしてもらい結果を発表してもらう
優秀発表に対し贈賞
各校のロボット工学教育の実践について情報共有してもらい,国際交流を体験してもらう
ロボット工学者育成促進及び将来の会員候補の確保
実績
国際ロボット展とのコラボで,過去2回ロボットハイスクールを実施.50名規模の国内高校生を対象に,産業ロボットを直接手に触れる1日コースの企画を実施.
2013年のIROS2013の東京開催に併せて,国際事業の一環として第1回インターナショナルロボットハイスクールIRH2013を実施し,第3回まで国際ロボット展が開催される奇数年度毎に継続し,昨年度は特別にWRS2018プレ大会及びJRW2018の実施に合わせて実施した.
今回の開催を含めこれまで,下記のように毎回多くの参加員数,参加国を得ており,本格的な国際教育事業になってきた.
表1.参加実績の推移
実施年度 | 総数 | 国内 | 国外 | 参加国 | 協賛 | |
---|---|---|---|---|---|---|
2013年 第1回 | 参加者 | 109 | 91 | 18 | 4か国:中国,日本,ノルウェー,米国 | 2社 |
参加校 | 19 | 16 | 3 | |||
2015年 第2回 | 参加者 | 115 | 34 | 91 | 6か国:ブラジル,中国,日本,韓国,メキシコ(2校),米国 | 5社 |
参加校 | 13 | 7 | 6 | |||
2017年 第3回 | 参加者 | 129 | 36 | 93 | 8か国:ブラジル,中国,日本,韓国,シンガポール,メキシコ,フィリピン,米国 | 4社 |
参加校 | 13 | 6 | 7 | |||
2018年 第4回 | 参加者 | 90 | 68 | 22 | 3か国:日本,メキシコ,フィリピン | 5社 |
参加校 | 9 | 7 | 2 | |||
2019年 第5回 | 参加者 | 56 | 23 | 33 | 3か国:日本,メキシコ,フィリピン | 4社 |
参加校 | 6 | 4 | 2 |
参加校
Caritas Don Bosco School(フィリピン)
CETIS 26 Technical High School(メキシコ)
実施報告
1.開催内容:
12月21日(土)
課題調査:国際ロボット展iREX2019展会場
12月22日(日)
研究発表会:課題調査報告
表彰式
2.課題調査:国際ロボット展iREX2019展会場
産業ロボット及びサービスロボットに関する下記の研究課題を事前に選択頂いた上で,各校にて事前研究を進めて頂き,初日にiREX2019会場で生徒による自主調査を実施してもらった.その結果を集大成し,2日目の研究発表の準備をしてもらった.
<展会場・競技会場での調査>
<研究課題の内容>
課題1:産業用ロボットの技術の進歩
従来の技術に対し何が新しくなったかを調査してください.
課題2:産業用ロボットの使われ方の変化
従来の使われ方に対しどのような新しい使われ方が提案されたか調査してください.例えば,最近では,食品を扱うロボット,人と共存して働くロボットなどが注目されています.
課題3:非産業用ロボットの技術の進歩
従来の技術に対し何が新しくなったかを調査してください.
課題4:非産業用ロボットを用いた新しい事業と市場
現在,事業化されているのは殆どが製造業用途の産業用ロボットですが,一方で,非産業用ロボットを用いた新しい事業が発展しつつあります.今回の展示で提案された新しいロボット事業の調査を行ってください.まだ事業化の軌道に乗っていないものについては,その将来の事業コンセプトや市場について調査を行ってください.
- 課題1及び2の産業用ロボットは,製造業の自動化に用いるロボットで,各種マニピュレータ,工場内搬送システム,チップマウンターなどを意味します.
- 課題3及び4の非産業用ロボットは,製造業以外の業種に用いられるロボットを意味し,物流,介護,清掃,情報サービス,家庭用等多くの分野を含みます.調査に当たっては,ロボットが活用される分野を任意に選んでください.
- 課題1及び課題3の技術の進歩の着目点は任意に設定してください.例えば以下のようなものがあります.
- ロボットの構成
- ロボットの機能
- ロボットの運動性能
- センサー技術
- 機械要素(アクチュエータ,減速機,機構,素材,システム)
- 制御技術(知能化制御なども含む)
- ロボットを使うための技術(安全技術やシステム・インテグレーション技術)
- ロボットとその使用環境を含めたシステム設計
3.公開発表会:同時通訳付き
12月22日(日),10:00~11:40,TFTビル9階906研修室において,研究発表会を行った.
参加した6校により,調査結果の報告を行ってもらった.各校の発表持ち時間は15分で,全ての発表が規程時間内で終了.展示会場での調査及び発表データ準備時間が短時間に限られていたにも関わらず,いずれの発表も素晴らしいものであった.
各校の発表内容と研究発表の課題
報告校(クリックで発表データ参照) | 選択課題 |
---|---|
立命館慶祥高等学校 | 課題4:非産業用ロボットを用いた新しい事業と市場 |
Caritas Don Bosco School(フィリピン) | 課題3:非産業用ロボットの技術の進歩 |
和歌山工業高等専門学校 | 課題2:産業用ロボットの使われ方の変化 |
CETIS 26 Technical High School(メキシコ) | 課題1:産業用ロボットの技術の進歩 |
岐阜県立飛騨神岡高等学校 | 課題2:産業用ロボットの使われ方の変化 |
クラーク記念国際高等学校 秋葉原ITキャンパス | 課題4:非産業用ロボットを用いた新しい事業と市場 |
4.表彰式:
a)研究発表全6件の中から下記の2校に対し,優秀賞:IRH2019 Best Study Report Awardを贈賞させて頂いた.
CETIS 26 Technical High School(メキシコ) |
岐阜県立飛騨神岡高等学校 |
b)生徒の皆さんをご指導頂いた各校の先生方には,感謝状:Testimonial for Study Report of IRH2019を進呈させて頂いた.
c)IRH2019の参加者全員には,参加証:Certificate of IRH2019を進呈させて頂いた.
d)総評:
優秀賞対象の選定のために,あえて各発表に対し評点評価をさせて頂いたが,実態としてはいずれも甲乙つけがたい素晴らしい発表で,各発表の総合評点の差異は僅差であった.発表時間は全件規程内に余裕をもってまとめて頂き,発表態度,発声,メリハリ,マナーも通常の学術講演会の大学生の発表レベルを凌駕するものがあり素晴らしかった.さらに,研究内容自体に関しても,事前にしっかりとした準備をして頂き,聴講者を引き付けるための工夫もあり,短い現地調査時間にも係らず,しっかりと分かり易く報告をまとめて頂いた.生徒の皆さんの日常の研鑽と,先生方の素晴らしいご指導に改めて敬意を表したい.
IRH2019を終えて
皆様のご協力のお蔭で,IRH2018に続き成功裏に第5回インターナショナルロボットハイスクールを実施できましたこと,最初に御礼申し上げます.
今回は,前回に引き続き,国外からの多くの御参加を頂き,本格的な国際教育事業になってきました.
前回同様,多くの国内外の高校とのネットワークができたのは今回の企画の成功に並ぶ大きな財産であると思います.
研究発表については,事前にテーマを選択頂き,開催前に事前研究を進めて頂く形式にさせて頂きました.このことにより,より深い学習をして頂けたものと思います.2日目の研究発表については,前回同様,素晴らしい発表をして頂きました.発表時間厳守で堂々とした発表マナー,ビジュアルにも分かりやすく工夫された発表資料,聴衆の興味を引く工夫等,高校生のレベルを超えた大人顔負けの発表に,改めて審査スタッフも脱帽致しました.これも,常日頃の生徒の皆さんの学業,生活姿勢の賜物,また御指導された先生方の多大なご尽力のお蔭と考えます.
再来年度の2021年12月には,国際ロボット展2021(iREX2021)が開催されますので,これに併せてインターナショナルロボットハイスクールIRH2021を実施いたします.iREX2021は今年と同等以上の規模になるとのことですので,また是非ご参加いただければ幸いです.
最後に,本企画に参加し活発な活動をして頂いた生徒の皆さん及びご指導の先生方,参加者の皆さんを快く送り出して頂いた各参加校の校長先生をはじめとする教職の皆様,本企画の場とご支援をいただいた共催の日刊工業新聞殿及び日本ロボット工業会殿,協賛により財政支援頂いたオーム社殿,株式会社安川電機殿,株式会社アールティ殿及び三菱電機株式会社殿,忙しい中ご尽力いただいたIRH2019実行委員会委員の皆様に改めて感謝申し上げます.