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第85回 ヒトの機能と美をデザインする

開催日2014年7月3日(木)
開催地東京藝術大学 上野キャンパス 中央棟第一講義室
セミナーレポートセミナーレポート

開催日:2014年07月03日(木)13:00~18:30(開場12:30)

遠隔セミナー本セミナーのネット配信を行います.募集開始致しました.

開催地:東京藝術大学 上野キャンパス 中央棟第一講義室(東京都台東区上野公園12-8)

レポートを公開致しました

会場アクセス:
http://www.geidai.ac.jp/access/ueno
最寄り駅:JR 上野駅・鴬谷駅 下車徒歩10分,千代田線 根津駅 下車徒歩10分

定 員:70名(定員になり次第締め切ります)

参加費(税込):
当学会及び協賛学会の正会員/8,500円,会員外/13,000円,学生(会員,非会員を問わず)/4,500円,
当学会賛助会員 招待券ご利用/無料,優待券ご利用/4,500円,左記サービス券なし/13,000円

  • 賛助会員の皆様へ:上記の招待券(2枚/口)及び優待券(10枚/口)は,年頭に各賛助会員学会窓口様宛に配布させて頂いておりますので有効にご活用ください.

口 上:
 生物は生まれながらにして,広く機能と美を両立させています.そしてヒトが用いるものをデザインする場合,その両者を満たすものは高いパフォーマンスを発揮し,そして広く社会に受け入れられています.このセミナーでは,いかにそのデザインを実現するか,工学の面及びアートの面から機能と美を考えたデザインをしておられる方々から,両者をどのように組み合わせてデザインを行うのか実例をもとに話をしていただきます.また今後機能や美意識が変化する中でどのようなデザインが求められるのかを解説していただきます.
オーガナイザー:村井 昭彦(東京大学)


講演内容:

13:00-13:10 <開会挨拶・講師紹介>


13:10-14:25 第1話 人間の姿・彫刻の姿
東京藝術大学 理事・教授 北郷 悟
 自然がつくり出す造形には常に「美」の存在が感じ取れる.ほかでもなく私達人間の姿・形も自然の産物であり,人類は「美」の象徴として各地域の絵や彫刻などで「人間」を表現してきた.中でも彫刻は,立体であるだけで動くことも話すこともないが,人体彫刻でいえば生きているような表現に人々は関心を寄せ,表現によっては権力の象徴とした姿もあった.現在彫刻の表現は多様化が進みさまざまな姿に発展しているが,これからの芸術の方向性は,他分野との融合によって新たな造形表現の可能性の探求と価値基準の異なるさまざまな考え方によってこれからの未来への歴史の一端を成すものといえる.
 ここでは,無重力実験等を通して得た成果や表現として人のカタチについて魅力や本質を紹介し,形の美が心の表現としてもあること等,これからのカタチやフォルムの可能性がどのようにあるべきなのか未来のヒューマノイドと人間社会の関係性についても考察する.


14:25-14:30 <休憩>


14:30-15:45 第2話 製品設計のためのデジタルヒューマンモデル
産業技術総合研究所 多田 充徳,遠藤 維
 付加価値の高い製品で市場競争力を高めるための「人間中心設計」に対する期待がメーカの間で高まっている.特に,ユーザ間の個人差を考慮し,より良い使用感やより高い安全性を提供することに対する要望は強い.これらを設計の初期段階で仮想的に評価できるように,我々の研究グループでは身体と製品との間の相互作用をコンピュータ上で評価するためのデジタルヒューマンモデルを研究している.本発表では,ユーザの個人差をコンピュータ上に再現するために必要となる,身体形状(ノギスで計測した代表寸法や,医用画像から計測した個人差)や身体運動(モーションキャプチャで計測した関節運動)の統計分析手法について説明する.また,デジタルヒューマンモデルと製品のCADモデルを読み込み,それらの間の相互作用を評価するためのプラットフォームソフトウェアDhaibaWorksの機能を説明すると共に,このソフトウェアを用いて行った製品評価の具体的な事例を紹介する.


15:45-15:50 <休憩>


15:50-17:05 第3話 義足開発を例にした脚の機能美についての考察
SONY CSL 遠藤 謙
 パラリンピックに見られるような板バネを用いた疾走は,健常者のものとは異なるものの,その動作に美しさを感じる人は多い.神経筋骨格システムと人工物の調和が生みだす機能美が,目新しい外見から生じる違和感に勝った一つの事例である.複雑な神経筋骨格系と環境の間にある人工物がシステムの一部として機能し,全体として高度な運動機能を生み出している.しかし,神経筋骨格システムが新しい動作を学習するプロセスには長い時間を要し,また個人差も大きいため,身体装着型デバイスの設計とそのトレーニングには,何回ものプロトタイプと試験の繰り返しが必須である.そのため,身体と人工物の調和を効率よく設計するためには,神経筋骨格システムの理解と個体差を許容する設計指針が特に必要であると私は考える.
 本講演では,ロボット?疾走競技用の2種類の義足を例に,動力学シミュレーションを用いた義肢装具の設計手法を提案する.そして,身体と人工物の機能美がどのようにして生まれるのかを参加者の方々と議論したい.


17:05-17:10 <休憩>


17:10-18:25 第4話 人,美しい人工物,未来
東京大学 教授 山中 俊治
 「美しさ」に対する欲求は,他の欲望とちがってそれを満たすことにためらいや飽きがなく,美に触れること自体をとても善いことのように私たちは認識している.それゆえに美は,いつの時代も神聖なものや優れたものの特性とされてきた.
 今日のデザインは,使いやすさや安全性なども含めたユーザ体験全体を統合的に設計する技術となるが,「美」の属性を人工物に与えることがデザインの重要な役割の一つであることに変わりはない.
 本講演では, 私がこれまでにデザインしてきた様々な工業製品や,研究者とともに製作した先導的なプロトタイプなどを引用しながら,美しい人工物と人との関わりについて紹介する.さらに,最近取り組んでいる「アスリートのための美しい義足」プロジェクトや「乳幼児用ホールボディカウンターの開発」等についても,その設計プロセスを紹介しながら,私が考える「美」の本質について迫っていきたい.


18:25-18:30 <閉会挨拶>


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主 催:
一般社団法人 日本ロボット学会
協 賛(予定):
応用物理学会,計測自動制御学会,産業技術連携推進会議 医療福祉技術分科会,システム制御情報学会,情報処理学会,人工知能学会,精密工学会,電気学会,電子情報通信学会,土木学会,日本感性工学会,日本機械学会,日本シミュレーション学会,日本神経回路学会,日本設計工学会,日本時計学会,日本人間工学会,日本バーチャルリアリティ学会,日本ロボット工業会,農業食料工学会,バイオメカニズム学会,東京藝術大学