学会方針(日本ロボット学会著作権規程の解説と運用)
ここでは、日本ロボット学会著作権規程の解説を行い、これをベースとした本学会における著作権取扱いの方針について説明します。
<著作権規程改訂の要点>
旧著作権規程では、学会由来の全ての著作物については、本学会が著作者から原著作物の著作権譲渡を受け全ての著作権を本学会が所有していましたが、会員サービスの一環として著作者による原著作物の自由な利用を考慮し、2014年3月17日以後の投稿論文や解説記事などの原著作物については、著作権譲渡を受けない方針に致しました。この変更に伴い、第三者からの著作物の複写等の利用申請があった場合、本学会に著作権が無いと円滑な処理ができないため、著作者から著作権譲渡を受けない代わりに、本学会が著作者に代わり著作物を利用することを許諾してもらうこととしています。
1. 日本ロボット学会誌の論文や解説記事等の場合の著作権の取扱い
学会誌すなわち編集著作物の著作権者は本学会です。旧著作権規程では、原著作物の著作権を学会に譲渡してもらっていましたが、現在は【第3条4項】に定めるように、原著作物の著作権は著作者に残すようにしています。その代わりに、本学会は、著作者から原著作物を利用することを許諾してもらいます(図4)。このことにより、本学会は、図4に示す様に、第三者から学会誌に掲載された論文の複写をしたい等の要求を受けた場合、編集著作物の著作権者としての立場と、原著作物の著作権者の代理の立場から、第三者に対し利用を許諾します。【第4条1項】
本学会は、過去、著作権譲渡証により著作権の譲渡を受けていましたが、著作権規程改訂後は、編集著作物公開後の第三者に対する複写の許諾の便を図るため、原稿公募・投稿受付時に、告知書面「日本ロボット学会の著作物の著作権帰属と著作物利用許諾について」により原著作物の利用許諾を著作者のみなさんに対し告知させて頂き、これを前提に本学会の刊行物に対する執筆をご了承頂くこととしています。
<参考>
参考:本学会で扱う原著作物の著作権の取扱いと関連する編集著作物の詳細例を表形式でまとめていますので併せてご覧ください。
2. 本学会の編集著作物の利用の許諾
・図1で解説したように、編集著作物の著作権は本学会のみに帰属します。したがって、【第5条1項】に定めるように、編集著作物の複写利用を希望する者は、第三者だけでなく原著作物の著作権者である著作者も、本学会に許諾を求
める必要があります(図5)。このため、本学会では、学会誌掲載の自分の論文を他者に配布するためということで、
論文著者に論文の別刷りを頒布しています。
・著作権規程に記載されているように、許諾には下記の条件を満たす必要があります。これらの条件を満たせば、複製利
用の範囲、形態、目的は問いません。
・編集著作物の発行あるいは公開以降の利用であること
・本学会の編集著作物の利用であることを明記していること
・編集著作物の内容を改変しないこと
・電子データの形での利用の場合、ダウンロード等の手段により当該データが第三者に流出しないこと
・利用に伴い申請者もしくは第三者が金銭的な利益を得ないこと
・第三者が、許諾を求める場合は、本来本学会だけでなく、著作者にも許諾を求める必要がありますが、図4に示す様に
本学会が代理で許諾をします。【第4条1項】
3. 研究報告書等の著作権の取扱い
本学会の企画に基づき執筆・編集し委員会等の業務結果として公開する職務著作物、すなわち本学会の研究会の報告書等の原著作物の著作権は、【第3条3項】に記載の様に、法人著作者である、本学会に帰属するものとしています。したがって、に、第三者から研究報告書の複製利用を求められた場合、本学会のみの権限で許諾を行います。研究報告書等の執筆依頼時には、著作権の本学会帰属を確かなものとするため、執筆依頼時に参考:執筆依頼書面「「○○○○○」ご執筆等のお願いおよび当該著作物に関する著作者の権利の帰属について」により著作者から承諾を得ます。
<参考>
参考:本学会で扱う原著作物の著作権の取扱いと関連する編集著作物の詳細例を表形式でまとめていますので併せてご覧ください。
4. 欧文論文誌Advanced Roboticsの場合の著作権取り扱い
学会の出版物の中には、出版社に委託出版をしてもらっているものがあり、その場合の著作権の取扱いは、【第3条5項】に定めるように、出版社と本学会もしくは著作者との間で締結される出版契約に基づき定められることにしています。出版委託先に応じて色々なケースがありますが、図7では欧文論文誌Advanced Roboticsの著作権の取扱いを示しています。ここでは、原著作物の著作権は、出版社であるTaylor and Francis社に譲渡されます。この取扱いの上で、第三者からの編集著作物の利用要求に関しては、Taylor and Francis社が窓口になって処理を行います。
<Advanced Roboticsの著作物の利用許諾申請先>
Taylor & Francis Asia Pacific
Email:
申請フォーマットはこちらをご使用下さい(工事中)
著作者は、Taylor and Francis社に原著作物の著作権を譲渡してしまいますが、原著作物の公開条件を満たせば、著作者自身のWebサイトもしくは著作者が所属する組織のWebサイトでの無申請公開ができるようになっています。
(Advanced Robotics自著論文のWebサイトへの掲載方法はこちら)
<参考>
Tailor and Francis社の著作権規程についてはこちらを参照してください。
Instructions for authors / Copyright and authors’ rights
Copyright and reusing your own work
5. 本学会の著作物の著作権取扱いの総括
表1に、図4~図7で解説した著作権の取扱いを含めて、本学会の主要な著作物の著作権の取扱いをまとめます。
表1.日本ロボット学会の著作物の著作権取扱い一覧
著作物 |
出版方法 関連図 【関連著作権規程条項】 |
原著作物の著作権者 | 第三者への著作物利用許諾元 |
編集著作物の 著作権者 |
著作者による編集著作物の利用 |
著作者による原著作物の利用 (引用を除く【8】) |
|
旧 著作権 規程 |
新 著作権 規定 (出版時点) |
||||||
・日本ロボット学会誌の論文、 解説 ・学術講演会予稿集の論文 |
自主出版【1】 図4 【3条4項】 |
本学会 |
著作者 |
本学会【6】 |
本学会 |
要申請 |
自由 |
・日本ロボット学会誌、学術講 演会予稿集の論文投稿に伴 い投稿した動画 |
自主出版 図4 【3条4項】 |
本学会 |
著作者 |
著作者 |
-【7】 |
- |
自由 |
・ロボット工学ハンドブック (多数著者記名の単行本) |
委託出版【2】 図4 【3条4,5項】 |
本学会 |
本学会【3】 |
本学会 出版社 |
出版社 |
要申請 |
要申請 |
・単行本(著者記名) | 委託出版 図4 【3条4,5項】 |
本学会 |
出版契約に依存【4】 | 本学会【6】 出版社 |
出版社 |
要申請 |
出版契約に依存【4】 |
・単行本(著者無記名) ・本学会研究報告書 |
委託出版 図6 【3条3,5項】 |
本学会 |
本学会 |
本学会 出版社 |
出版社 |
要申請 |
本学会(=著作者)の自由 |
・本学会研究報告書 (学会サイト掲載) |
自主出版 図6 【3条3項】 |
本学会 |
本学会 |
本学会 |
本学会 |
要申請 |
本学会(=著作者)の自由 |
・Advanced Roboticsの論文 | 委託出版 図7 【3条4,5項】 |
本学会 出版社 |
出版社【5】 |
出版社 |
出版社 |
要申請 |
制限有【9】 |
・Advanced Roboticsの論文投 稿に伴い投稿した動画 |
委託出版 図7 【3条4,5項】 |
本学会 出版社 |
出版社【5】 |
出版社 |
-【7】 |
- |
要申請【10】 |
【2】委託出版:第三者である出版者と契約を結び当該出版者にて委託して出版する形式。
【3】原著作物の著作権者は著作者だが、出版社が多数の著者に対し出版契約を締結するのは困難なため、本学会に著作
権を譲渡してもらう。
【4】出版契約により出版社に原著作物の著作権の譲渡を求められる場合もある。著作権譲渡が行われた場合は、著作者
による引用を除く原著作物の利用に際しては出版者に許諾申請が必要となる。
【5】論文掲載時に出版社に原著作物の著作権譲渡を行う。
【6】原著作物の著作権者である著作者の許諾が必要だが、著作者から本学会に著作物利用の許諾を受け、本学会が第三
者に対し代行して許諾を行う。
【7】投稿動画は本学会での編集作業を行っていないので編集著作物とはならない。
【8】引用で著作物を利用する場合は、著作権者に対する許諾申請は不要。
【9】出版社の関連を明示する等の公開条件を満たせば、著作者もしくはその属する組織のWebサイトで自著の原著作物
を公開できる。
【10】著作権管理担当にMailで利用の由通知するのみで先方回答なしで利用可能。
6. その他の著作権取扱い事項
1)著作権規程改訂前に本学会に譲渡された原著作物の著作権の取扱い現在の著作権規程は、2014年3月17日より実施されていますが、それ以前の旧著作権規程に従い本学会に著作権譲渡を受けた原著作物の著作権の取扱いは、現著作権規程の附則に記載のように、従前通りと致します。但し、日本ロボット学会誌の論文投稿に付随して投稿頂いた論文原稿、図表、動画などの現著作物については、本学会への利用許諾申請無しに著作者の皆さんに自由にご利用頂けます。
2)コピーライト表示の扱い
2010年以降、コピーライトの明記に世界的な法的効果が無くなっており、著作物にコピーライトを付加する意味が無くなっています。著作権は著作物が公表された時点で自動的に発生するという考え方が基本となっています(無方式主義)。
2014年3月17日まで、日本ロボット学会誌への論文投稿に付随した動画投稿でコピーライト表記をタイトルに入れることを義務付けてきましたが、上記を理由の一つとして廃止しました。
著作物へのコピーライトの表記は法的効果が失われていますが、著作権者が誰かを表記する意味では慣習的に使われています。本学会の編集著作物の著作権者は本学会ですので、これらにコピーライトの表記を入れることは可能です。